** 世界のコンパクトメーカー **

■KIGU
■Stratton
■Elgin
■Evans

 

■Oroton
■NACON

■Pink Lady
■CROWN

  ※アンティークとビンテージの定義


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■KIGU of LONDON

 KIGU社はハンガリーのブタペストで1947年に設立されたコンパクトメーカーです。
創立者の家族の頭文字等を組み合わせ『KIGU」の名前が出来ました。ハンガリーで設立された会社ですが自由圏のイギリスを拠点として制作活動をする事になりLONDONの文字が入る事になりました。
 同じくイギリスにはコンパクトとして最大のメジャー『Stratton社』があり、この2社で数多くのコンパクトを世に出していました。日本でもNACON,Pink Lady等のメーカーが競ってこの2社の製品をイミテートしたコンパクトを発売していました。
その頃はまだ知的所有権の意識は無いに等しかったのですね。

 
KIGU社のアドカー、車体にKIGU社のキャッチコピー「Compacts Of Character」の文字が見えます。この車もコンパクト以上にカワイイですね!

 

 

 Strattonがゴージャス、デコラティブ、高級と言う形容詞が似合うとするなら、KIGUの方は清楚、可憐、カワイイと言う形容詞がぴったりな様に思います。
私個人も、もちろんStrattonnも好きなのですがKIGUのアイテムの方が心引かれるものが多い様に感じます。コレクションもKIGUを中心に集めようとも思っています。

 KIGU社は当時日本でもとても人気があり大手デパートで盛んに扱っていた様で私のコレクションの中にも和光、松坂屋、三越のパッケージに入ったものがあります。
また日本のNACONが当時輸入代理店をしていた様で私のコレクションの中に「KIGU OF LONDON IMPORTED BY NACON」の文字のあるKIGU社のコンパクトがあります(コンパクトNo.048)

 KIGU社は1970年後半に残念ながら操業を停止し、現在私たちが手にする事の出来るものは全てアンティーク(※下記参照)です。
会社が無くなってしまった今でもKIGUのコンパクトは世界中で人気があり、アンティークコンパクトとしての地位を確立しています。

 
左の画像は当時の雑誌広告です。
私の母の世代が乙女の頃、こんな広告にきっと心躍らせていたのだろうと思うとしみじみしてしまいます。
 
 

■Stratton

 Stratton社は1860年にイングランドのバーミンガムで設立された老舗のコンパクトメーカーです。
もともと金属製品の加工、製造メーカーで、コンパクトを専門に作り始めたのは'30年代に入ってからでコンパクトと言えばストラットンと言われる様になり'50〜'70年代にその黄金期を迎えました。
商品にあってはイギリスと言う事もありウェッジウッドやロイヤルコペンハーゲンと言った老舗の陶器メーカーとのコラボレート作品等話題を独占する様なアイテムを数多く販売して来ました。

 
 Strattonジャスパーシリーズ。
ウェッジウッド社とのコラボレート商品で左が同じ絵柄のソーサーです。絵柄はギリシャ神話の女神との事ですが、どう見ても東洋の天女にしか見えないのは私だけ?
     
 
 しかしその後化粧品各メーカーのパウダーは固形のものが主流となり、またレフィルもそれぞれのメーカーの企画サイズとなり互換性が無くなってしまいました。
このため各コンパクトメーカーは大きなダメージを受け1997年にStoratton社は名前をそのままに他の企業に吸収されてしまいまったのです。
 現在でも7種類の現行商品を手に入れる事は出来る様ですが当時のデザインセンスには、残念ながら及ばないのではと個人的に感じています。ごめん。
 
 

■Elgin

 Elgin社は1864年8月 J.C. アダムス(J.C. Adams )らがエルジン市の敷地・資金提供を受けウォルサムの技術者を招いてアメリカ合衆国のイリノイ州エルジン市にNational Watch Companyを設立したのが最初です。
1874年社名をElgin National Watch Companyとしました。
時計の生産では相当な生産量を誇っていましたが第二次世界大戦後 、 スイス時計、それに続く日本製の時計にその座を追われる様になり、1968年 - サウスカロライナ工場閉鎖をもって時計メーカーとしてのELGIN NATIONAL WATCH CO. はなくなってしまいました。

 

左の画像は
Elgin社が1874年に
建設した天文台。
この他にも時計学校も
設立したそうです。

当時のロゴです。
 

 現在は福本電機が設立したエルジンインターナショナル株式会社によって、腕時計ブランド名として残っています。 
http://www.elgin-int.co.jp/

 コンパクトの生産は1930〜1950年代を中心に盛んに作られていた様で、デザイン的には金(メッキですが)を多用したエレガント路線と思われる高級感のあるアイテムが多いと感じています。

 
 

■Oroton

 OrotonGroupは1938年にボイドレーンによりオーストラリアに設立されました。
オロトンの名前の由来は"オロ"ラテンの意味金と"トン"金や財産のトンを意味しています。日本では1951年にテキスタイルとパウダーパフが入って来た事により知られる様になったようです。
'50年代頃世界中でコンパクト熱が高まる事オロトンでも盛んにコンパクトを制作したようです。実際の制作は旧西ドイツに依頼していたようで、ミラーに貼られたシールから伺い知る事が出来ます。
現在でもコンパクトミラーなどの商品を始め,アクセサリー、ジュエリー、ネクタイ、傘、ニット、ランジェリー、を扱い,中でも皮革製品をメインに製作しています。
ホームページはリンクのページから見られます。

 
 

■Stratton

 Stratton社は1860年にイングランドのバーミンガムで設立された老舗のコンパクトメーカーです。
もともと金属製品の加工、製造メーカーで、コンパクトを専門に作り始めたのは'30年代に入ってからでコンパクトと言えばストラットンと言われる様になり'50〜'70年代にその黄金期を迎えました。
商品にあってはイギリスと言う事もありウェッジウッドやロイヤルコペンハーゲンと言った老舗の陶器メーカーとのコラボレート作品等話題を独占する様なアイテムを数多く販売して来ました。

 
 Strattonジャスパーシリーズ。
ウェッジウッド社とのコラボレート商品で左が同じ絵柄のソーサーです。絵柄はギリシャ神話の女神との事ですが、どう見ても東洋の天女にしか見えないのは私だけ?
     
 
 しかしその後化粧品各メーカーのパウダーは固形のものが主流となり、またレフィルもそれぞれのメーカーの企画サイズとなり互換性が無くなってしまいました。
このため各コンパクトメーカーは大きなダメージを受け1997年にStoratton社は名前をそのままに他の企業に吸収されてしまいまったのです。
 現在でも7種類の現行商品を手に入れる事は出来る様ですが当時のデザインセンスには、残念ながら及ばないのではと個人的に感じています。ごめん。
 
 

■NACON

 NACON社は'60、'70年代を中心に数多くの高級コンパクトを制作していた日本の代表的メーカーです。
当時NACONは各地の伝統工芸作家や地域とのコラボレート(それぞれの地域の依頼を受けてたものも相当数あるのではと思うのですが・・)コンパクトを制作していました。
例えば西陣織や博多織等の伝統織物を使ったもの、肥後象嵌や加賀象嵌、螺鈿、鼈甲、繊細な手作業に依る彫金、七宝焼などなど。当時の職人芸の粋を集めた様なコンパクトをそれこそ星の数程制作していた様で、骨董市やオークションなどでも多種多様なNACON社のコンパクトを見る事が出来ます。

 個人的にはこれらのコンパクトは”作品”と言っても良い程の完成度たちばかりの様に感じています。
NACON社が創業された頃は、ちょうど高度経済成長期と重なった為生産増産の社会背景だったのでしょう、その波に乗ってたくさんの商品が作られたんじゃないかな〜と思っています。
 私の母の世代たちがこぞって買い求めていたのかな〜?なんて思いを馳せたりしています。

 NACONが日本の代表的なコンパクトメーカーだった事は、イギリスのKIGU社の日本輸入代理店をかねていて、多くのメジャーデパート(三越、松屋)や貴金属店(和光)等にも卸していた事、それだけではなく日本向けのオリジナル商品の製作発注をしていた様で、そんな事からも想像出来ます。
本社は台東区にあった様ですが、現在はすでに存在していません。

 
 

■Pink Lady

 Pink Ladyは'70年代を中心にコンパクトを制作していた日本のメーカーです。
作られた総数(種類)はダントツなのではと思っています。
NACONが高級路線を目指していたとすればPink Ladyはそれよりもワンランク日常寄りだったのではないでしょうか?
デザイン的にも伝統的な重厚さのあるものより当時の若い人の好みそうなよりポップで鮮やかな色使いのものも多く見られるようです。

 話題を一つ、昭和40年に東京国立博物館でツタンカーメン展が開催されました、当時にわかにエジプトが話題になって、恐らくその後作られただろうヒエログラフ文様のコンパクトがPink Ladyから発売されました。
 エジプトは当時世界的にも話題だった様で一早くデザインに取り入れたんでしょう。

 
また、使われている素材にもアルミを多用するものがある等、ちょっとチープ路線で若い世代をメインターゲットにしていた事が伺えます。
イギリスのStrattonとKIGUの様な関係?だったかもしれませんね。
 
ちなみに、このPink Ladyと言う社名、当時人気デュオのピンクレディから取った、、、のでは無く彼女たちのデビューより前に創業された様です。
 
 

■CROWN

 CROWN社は'60、'70年代を中心に数多くのコンパクトを制作していた日本の代表的メーカーです。
自家オリジナル商品だけではなく各社(化粧品メーカーや各地の民芸、工芸品メーカー等)へ完成品コンパクトの土台となる、金属部分の提供をしていた様で、同じ規格と思われる金属ベースに、鼈甲や織物など各地の特色あるマテリアルが嵌め込まれたものが、けっこうあります。

 下の画像は「エトワール海渡 」からのオーダーで作られたと思われるコンパクトです。面白いのは入れられていたケースです、今ならケースにも販売会社のロゴが入っているでしょうが、当時はCROWNの箱を流用です。やっぱりユルいですね。

     
 
 もう一つ、これは今ではちょっと「良いのか?」って思われることがあります、それはCROWN社のロゴなんです。下の画像を見て下さい。左がイギリスのメーカー"KIGU社"のロゴ、右がCROWN社のロゴ。これ、似ていませんでしょうか?
現在だと問題になっちゃうんじゃなかろうかとおもうんですけど、当時は知的所有権への認識がユルかったんだなと思われる例です
CROWN社の製品はとても仕上げがきれいで、オリジナリティーもありデザインセンスも良いなと思うものが多くあって、完成度の点では海外メーカーと一線を引いても良いと思うんですけど。。
やはり高度経済成長の時代、多くの人が海外のものは「イイ」と言う妄信的雰囲気があったんでしょうね。
   
 
 
 
 


※アンティークの定義
 正確にはアンティークは100年以上の時間を経たものと定義付けられています。これ以外の若い年代のものはビンテージ、コレクタブルス、コレクターズ・アイテム、メモラビア、ブロカント等と呼び区別をつけています。
関税と貿易に関する 一般協定(ガット、日本も批准)でアンティークの定義は法的に定められています、ですので100年以内のお品をアンティークと銘打って販売する事は違法となってしまいます。でも国内での販売では強い拘束力は無い様ですね。

 
イラスト・画像,文章等の無断転載、複写、
無許可使用厳禁。
copyright(C)2011
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